昔、欧州外資系の会社で働いていた時、イタリア人の同僚に「日本人って、なんでそんなに働くの?」と聞かれたことがあります。
「上司が無理やりそうさせるの?」 ん〜「No」
「残業代が欲しい?」ん〜「No 」
「暗黙のプレッシャー?」 ん〜そこまではない。多分「No」だね。
彼は、え〜じゃあなんでそんなに働くのか分かんないよ、と笑ってましたけど、私も同時に「あれ、なんでだろ??」と考えた次第でした。
その後、この質問がずっと頭に残っていたいのであれこれ考えたんですが、結論として、特に海外のメンバーと日本人メンバーの大きな違いとして、多くの日本人は『これをやっておかないと、他のチームや同僚、ひいてはお客様に迷惑がかかるから』というのが大きい理由になっているのでは?ということに思い至りました。
これは、とても日本人的なのかもしれません。
例えば、海外のパート従業員は、仕事はあくまでも時間の売り切りであって、仕事の途中でも終業時間が来たらやめてチャチャっと帰っちゃうことが多いのに対し、日本ではパートタイムのおばちゃんでも、仕事に熱意を持ってサービスに励む人が多く、そこには『同僚やお客様に迷惑かけたらダメでしょ』というのが暗黙の了解としてあるような気がします。
「これ今日中にやっとかないと、あとで誰々が困るかも」とか、「あ〜もう帰っても良いんだけど、今日これやってあいつに渡してあげるか」とか、「ここでは少し無理しても誰々の期待に応えたい」とか、そいういうことが多いんですよね。
その後、そのイタリア人同僚にそれを説明したら、「長いこと日本人と働いてきたので、その説明は腑に落ちるね〜。イタリア人的には、迷惑かけるのはお互い様だろ! みたいな前提があるから、考え方が真逆ではあるね」と笑ってました。
これは20年近く前の話なので、最近は違うのかもしれません。
そもそも、今の日本人はそれほど働いていないんですよね。
下記はOECDの統計データで、1971年から2023年までの労働者一人当たりの年間労働時間を表したグラフです。今やOECD加盟国の中でも平均以下です。
(濃い線が日本です)

最近は、海外の人と仕事をすると「日本また祝日!?多すぎない?」と怒られます。ほんと、日本も変わったと思います。
ただ、労働時間が短くなったとしても、「誰かに迷惑をかけたくない」という感覚そのものは、今でも日本人の中にかなり強く残っている気がします。
それは美徳です。実際、その感覚があるから、日本のサービスは丁寧だし、仕事の引き継ぎも細かいし、見えないところで誰かが少しずつ余分に支えている。
でも同時に、それは呪いでもあるんですよね。
誰かに迷惑をかけないために、自分が少し無理をする。
自分が少し無理をすると、今度は他の人も無理をする。
そうやって、誰も命令していないのに、全員が少しずつ無理して、早く帰れなくなる。
イタリア人同僚の「迷惑かけるのはお互い様だろ!」という言葉は、当時の私には少し雑に聞こえましたけど、今思うと、あの言葉は、日本人が少し楽になるためのヒントなのかな、と思います。








こんな素敵な建物が。そして建物の中がまた素晴らしい。

