読書: TIGHTROPE(絶望死) ニコラス・D・クリストフ / シェリル・ウーダン

自己責任、自助努力、自己実現という価値観。
そこから導かれる「(経済的に)成功することが善であり正義である」という信念。アメリカンドリーム(個人の成り上がり)の賞賛はこの前提から来ているのであり、それは、最終的に強欲資本主義に繋がっていく。
「富むことは努力の結果であり、素晴らしいことなのだ。富(利益)を求めて何が悪い??」というふうに。

 

そして、人生は自己責任だからこそ「富める者、成功者した者は自助努力の結果だが、人生に失敗した者、貧しい者は、努力・忍耐・勇気・知性が足りないのだ」という結論に至る。
そいつの責任だろ?と。

 

そこから導かれる、弱者への蔑視。
貧しい者への差別意識
強者の理論の正当化。

 

その結果の表(おもて)面が、アメリカの経済成長であるのは間違いない。
工場を潰そうが、失業者が増えようが、労働環境が酷かろうが、「株価を上げる経営者」が優秀なのだから。
株価は上がり、会社の利益は上がり、マネージメントは莫大な収入を得る。
ビリオネアの世界。

 

そして、そのコインの裏面が、貧困国アメリカ。
失業、自殺、薬物、アルコール中毒、ホームレス、貧困の連鎖。
この本は、その裏面のドキュメンタリーです。

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