読書: ぼくたちは習慣で、できている 佐々木典士

意志なんて弱いに決まっていて、感情(気分)には勝てない。だから必要なのは、「強い意志」ではなくて「工夫」。天才たちの日課を観察すると、才能(だけ)ではなく、習慣が天才達を作り上げているがわかる。良い習慣を、無意識レベルまで持っていこう。意識が出てくるから疲れるのであって、無意識で動いている時は疲れも感じない。
意志や才能ではなく、習慣で自分の人生を作り上げよう、という本。

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読書: TIGHTROPE(絶望死) ニコラス・D・クリストフ / シェリル・ウーダン

自己責任、自助努力、自己実現という価値観。
そこから導かれる「(経済的に)成功することが善であり正義である」という信念。アメリカンドリーム(個人の成り上がり)の賞賛はこの前提から来ているのであり、それは、最終的に強欲資本主義に繋がっていく。
「富むことは努力の結果であり、素晴らしいことなのだ。富(利益)を求めて何が悪い??」というふうに。

 

そして、人生は自己責任だからこそ「富める者、成功者した者は自助努力の結果だが、人生に失敗した者、貧しい者は、努力・忍耐・勇気・知性が足りないのだ」という結論に至る。
そいつの責任だろ?と。

 

そこから導かれる、弱者への蔑視。
貧しい者への差別意識
強者の理論の正当化。

 

その結果の表(おもて)面が、アメリカの経済成長であるのは間違いない。
工場を潰そうが、失業者が増えようが、労働環境が酷かろうが、「株価を上げる経営者」が優秀なのだから。
株価は上がり、会社の利益は上がり、マネージメントは莫大な収入を得る。
ビリオネアの世界。

 

そして、そのコインの裏面が、貧困国アメリカ。
失業、自殺、薬物、アルコール中毒、ホームレス、貧困の連鎖。
この本は、その裏面のドキュメンタリーです。

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勢いで買ってしまったアイフル株(8515)の結末

2015年、何を血迷ったのか購入してしまったアイフル株。462円で購入後、2016年〜2021年の5年間、ひたすら戻りを待っておりました。

2019年の夏がボトムで、ほぼ半額の230円まで落ちたましたが、なぜか2020年後半から上がり調子。日経平均につられているだけだと思うけど、良い感じです。流石にプラスまではいかないと思うので、ここら辺で損切りです。

「5年寝かして、マイナス」。。これも勉強です。

読書: 死にカタログ  寄藤文平著 大和書房

この本を読むと、死に対して非常に、何というか、冷静になれる気がする。確率的には、癌を中心とした病気に気をつけて、交通事故にも合わず自殺もしなければ、ほぼ平均寿命までは生きることになるのだろう。現代日本に住む人間としては。それはそれで長生きするリスクが生じる訳だけど。
『いつ死ぬか』という時期とは別に、死に対する態度も重要なポイント。本の中では7つに大別したあったけど、個人的にはその中でも、受け入れる、というのが最も好きかな。きちんと毎日を過ごし(作者の言うところの、『毎日ちょっとずつ折りたたんでおく』ことかと)、死を最後の仕事として受け入れる。できるかどうかは別としてそれが理想。
最後に、生き方(死の物語)として様々な人々の例が出てくるけど、結局理想的と思えたのは、寄藤知律、作者のおじいちゃんの〔普通に老衰〕か、ピカソの〔最後まで人生満喫〕だな。ヒロイックな人生は、いいや。

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読書: 慰安婦問題という問い 大沼保昭・岸俊充 勁草書房 2007年

東京大学の法学部と公共政策大学院の合同ゼミで行った講演および質疑応答をまとめた本。この本に収録されている講師は、和田春樹(東京大学名誉教授)、秦郁彦日本大学講師)、吉見義明(中央大学教授)、上野千鶴子東京大学教授)、長谷川三千子埼玉大学教授)、石原信雄(元内閣官房副長官)、村山富市(元首相)の計7名。
左右、というか、反日論者と実証主義者とフェミニストがそれぞれの意見を述べているので面白い。特に長谷川三千子氏の非常にロジカルな論説には非常に共感を覚える。

しかし、一番強烈なのは、石原信雄氏の編。
反日派(自虐派)の人達が常にその論拠として使う「河野談話」がどうやってできたか、当時副官房長官でまさにに談話作成に携わっていた本人が説明。
石原氏によると、
第一次調査が不十分であった為、第2次調査を実施。
その第2次調査はかなり徹底的に実施しており、国内、海外(米国連邦政府)、途中で本土復帰した沖縄の資料等、かなり徹底的に調査した。
その結果、文章とか旧軍関係者からの証言からは、「強制的に」慰安婦にしたというものは得られなかった。そういう通達も出てこない。有無を言わさず、本人が抵抗しても連れて行け、というような文章は出てこなかった。出てきた文章は、衛生に注意、とか、環境をよくするように、とか輸送に便宜を図る、とかの軍関係の通達のみ。であった。
しかし、「これについて韓国政府が非常にこだわりまして。。」
韓国政府曰く、名乗り出た元慰安婦達が強制的に慰安婦にさせられた、と言っているので日本政府としてもその点を認めてくれ、と強い主張があった。
困った政府は、(ここからがスゴい)、
「そこで(宮澤)総理や官房長官とも相談しまして、この本人の証言を判断材料として採用するかしないか、最後のいわば総理の決断のようになりました」
「いろいろな政治的な影響を受けない状況、反日運動を行っている団体等の影響を受けない静かな環境環境下で、韓国政府協力のもとにソウルで何人かの人からの聞き取り調査を実施し」
「その結果、彼女達の証言から、強制的に慰安婦にされたことが疑いようの無い人が何人か出てきた訳です」
「いずれにしても、文章によって裏づけることはできなかったんですけれども、被害者となった慰安婦の複数の方の証言をいただいて、それを分析・検討した結果、心証を得たわけです」
「そこで、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった、と断言しました」
あらあら。。。

その後の質疑応答において、その最も重要なヒアリングの内容が10年以上たってもオープンにならない理由を聞かれて、
「調査は韓国政府に協力お願いして行ったのですが、それはオープンにしないという条件なんですよ」
「それは絶対に門外不出です。韓国政府との固い約束ですから。」
人選するとき韓国政府のご協力をいただいたんですが、当然のことですが、(反日)運動体と一緒になって行動している人は避けたわけです」

そして、
「(極東裁判の)評価はともかくとして、とにかく戦争にもっていった当時の為政者の責任は戦争の正当性の問題以前にいかなる意味でも正当化できない」と言い放つ。

なんて人達なんだ。。こんな人達が国を動かしているのか。
韓国政府そのものが反日主義。あちらも、なんだ、なんでこんなにスムーズにのってくるんだ??って不思議だったでしょうね。
これなら他の国々が、日本との交渉なんてちょろい、と思っても不思議はない。
交渉事においては普通のビジネスマンにもなれない。
これが、竹下、宇野、海部、宮澤、細川、羽田、村山の7つの内閣で7年余にわたり官房副長官を務めた方です。凄いな、日本の政治レベル。。。

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読書:「自己啓発病」社会 宮崎学 祥伝社新書

「自助論」(西国立志編)は、ヨーロッパ近代がまだ若々しい時代に、自助努力で社会の発展をもたらす、という時代の躍動を記した本である。しかし、まず日本には本当の意味での近代化はなく、村共同社会の上に、自由、平等等の価値観を上塗りしただけであり、封建的社会を壊した上での個人的自由と独立をベースにしたものではない。「末は博士か大臣か」という言葉が表している様に、個人がそれを願っているというよりも、そこには村社会の願望が現れている。
近年になって、自助論が受け入れられているのは、新自由主義によって、自助と共助の「共助」が切り捨てられた社会にあって、自分で成功しなければ、という不安が蔓延しているからであって、そこにあるのは本来の自助論から外れた、セルフィッシュな成功願望である。
しかし、今後はそれはなくなるだろう。
現代資本主義社会では、勤勉、忍耐が成功をもたらさない。それをもたらすのは、才覚、俊敏さ、ネットワーク、大胆さ、などであるのだから。
筆者は、「では今後、勤勉忍耐に変わる何を指針に生きれば良いのか」という問いには答えていないが、おそらくそれは「好きなことやっていけば?」ということになるのかもしれない。

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